ハイレゾ・オーディオにわくわく! 第二話

次世代のハイレゾ・オーディオ形式「DSD」

dsd_logo
DSDって聞いたことありますか?第一話で説明したPCM方式とは異なるデジタル・オーディオの方式ですが量子化ビット数はたったの「1ビット」です。
このデジタル・オーディオ方式を「DSD(Direct Stream Digital)」と言います。古くはSACDがDSDを採用しており、SONYのVAIOが「Sound Reality」というソフトでDSD変換を実現していました。さて現代のハイレゾ・オーディオとの関係は?

1ビットデジタル方式

アナログ信号をデジタル化するのに一番スタンダードなのはPCM方式です。他にもデジタル化する方式があってそれが「1ビットデジタル」方式と呼ばれています。この方式を説明するのがとても難しく、私自身も完璧に理解できているわけではありません。1ビットデジタル方式をざっくり説明すると

PCM-vs-DSDBy Paweł Zdziarski, CC

  • アナログ信号の変化(直前のデータとの差分)を1か0の2値に置き替える
  • それを超高速(2.8MHz・5.6MHz・11.2MHz)で行う。これはCDのサンプリングレートの64倍(2.8MHzの場合)になります。

結果アナログ波形が1と0の密度となって記録できるそうです。これをΣ⊿変調方式(あるいは⊿Σ変調)と言います。興味がある方は以下のリンクで詳しく解説されていますので理解できたら私に説明して下さい(笑)。

Σ⊿変調方式の良い所はPCMに比べ、よりアナログ的だと言われています。変換されたデータはBit Streamなので、インターネットでのStreaming配信に向いているそうです。また、DACの回路は簡単らしく(笑)超高速の1ビットデジタルデータをローパスフィルターを通すだけ・・・だそうです。もちろんこの時に超高域に存在するノイズを取らないと高域用スピーカーを壊しちゃうのです。(人間の耳には聞こえないので大丈夫!)

DSDのデメリットですが、フルDSDネイティブ、つまり録音からマスタリングまでDSDフォーマットを行うことが難しいのです。ワンポイントマイクでのライブ録音などは可能ですが、現状ではDSDのまま複雑な編集やミキシングは出来ません。

ファイルフォーマット

DSDのファイルフォーマットは3種類あります。

フォーマット  拡張子  説明
DSDIFF
Direct Stream
Digital
Interchange File Format
.dff SACD制作用のプロ用機器(レコーダー/ワークステーション/オーサリングなど)で多く採用されているDSDファイル・フォーマット
 DSF
DSD Stream File
.dsf ソニー製パーソナルコンピュータVAIOの一部モデルでサポートしていたDSDファイル・フォーマットです。
WSD
Wideband Single-bit Data
.wsd 「1ビットオーディオコンソーシアム」が策定した1ビットオーディオ・ファイル・フォーマット。サンプリング周波数やCH数に制限がなく、あらゆる形式の1ビットオーディオ・データに対応できることを特長としています。

配信サイトなどで一般的なフォーマットはDSDFFあるいはDSFで、WSDはあまり見かけません。データ量も非圧縮の同等なサンプリングレートのPCM方式に比べると少なく(ビットストリームなので正確な比較ができない)次世代のハイレゾ・オーディオの主流と言われているのです。

しかし現在iTunes(Core Audio)はDSDには対応していません。

DSDのサンプリングレート

DSDのサンプリングレートはとても高く、ベーシックなDSDで2.8MHz(DSD64)もあります。現在ではその上位5.6MHz(DSD128)及び、最近コンテンツも出回り始めた11.2MHz(DSD256)があります。
多くの外部DACは5.6MHz(DSD128)まではデコードできますが、11.2MHz(DSD256)をサポートしたDACについてはやっと出始めたという感じです。

ハイレゾ・オーディオ音源の配信とDSD対応DACについて

ハイレゾ・オーディオのコンテンツを入れる器はSACDを除いてデータファイルのみとなってしまいました。
現在これを担っているのがハイレゾ・オーディオ配信サイトです。序章でも紹介しましたが再度代表的なサイトのリンクを貼っておきます。

配信サイト名 備考
e-onkyo music 音響メーカーのONKYOが運営しているサイトです。
mora  (株)レーベルゲートというSONY関連会社によるサイトです。
VICTOR STUDIO HD-Music  (株)JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントが運営しているサイトです
OYOTOY オトトイ(株)が運営しています。DSDの普及に務めています。
HQM STORE (株)クリプトンが運営しています。
music.jp (株)エムティーアイが運営していますが、Mac OSはサポート外のようです。
ACOUSTIC SOUNDS 海外のサイトで序章を書いた時には気が付かなかったサイトです。とにかく曲数が多いです。でも英語。

ということで、これらの配信サイトではFLAC・WAVE・AAC・DSDが中心となります。AIFFやALACはごく少数です。
ハイレゾ・オーディオ配信サイトでも最近DSDでの配信サービスが増えてきました。特にOTOTOYは、初期の頃から積極的にDSDの普及に努めていることでも有名です。
e-onkyoサイトでもDSDデータの配信サービスは行われています。全体としてはまだまだFLACをはじめとするPCMデータの配信サービスが主流ですが、多くのDACがDSDのデコードをサポートしておりDSDコンテンツが普及し始めています。

DSDフォーマットについてはそもそもビットストリームであるため、ネットワークでの配信に向いているフォーマットです。KORG社は「Prime Seat」というアプリを無償提供していて毎日夜9時頃からDSDのストリーミング配信の実験も行っています。

ハイレゾオーディオにおける外部DACの重要性

さて、第一話、第二話で説明した様にハイレゾ・オーディオデータには多くの種類があることが分かりました。もはやiTunesという音楽ライブラリーを管理しつつ再生機能を持つアプリと光デジタルなどのSP/DIF接続だけでは全てのハイレゾ・オーディオデータの再生が不可能であり、外部DACの必要性もご理解頂けると思います。iTunesのような音楽ライブラリーの再生・管理も必要な課題となってきます。

現状ではUSB DACやハイレゾ対応のポータブルアンプやハイレゾ対応ポータブルプレーヤーネットワークオーディオプレーヤーの多くは、PCMについては192kHz 24bit、DSDは5.6MHzの両方をサポートしたものが多くリリースされています。購入する際はこの辺を基準に選んでみてください。2016年はDSD 11.2MHzに対応したDACも増えてくると思われますので、なるべく新しい製品を選ぶと良いと思います。
DRDAC10R特にDSDに関してはKORG社が積極的に対応しています。独自ドライバーにより、Dop(DSD over PCM)を使用せずにMacとDSDネイティブなUSB通信が行え、DSD録音も出来るAD/DAコンバータ DS-DAC-10R があります。録音再生ソフト AudioGate4を使用するとRIAA補正が必要なLPなどのアナログデータからDSDフォーマットのハイレゾデータを楽しむことが出来ます。この機材については2/20の定例会の時にお見せすることが出来ます。

第二話のまとめ

ハイレゾ・オーディオの比較的新しいフォーマットDSDを中心にお話しましたが、やはり実際に聞いてみたくなりますよね。
ましてWEBブラウザーではハイレゾ・オーディオが聴けないというジレンマ・・・・、2/20 ゆうMIUG定例会では、出来るだけ音を出す様なプレゼンにしますのでぜひご来場下さい。
第三話は、ハイレゾ・オーディオをとりまくソフトウエアの話をしたいと思います。