ハイレゾ・オーディオにわくわく! 第一話

ファイルから見たデジタル・オーディオのお話(PCM編)

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では、Apple Users GroupのゆうMUGらしくデジタル・オーディオをデータファイルという観点から掘り下げてみましょう。
Macで扱えるオーディオファイルの形式が複数あるのはご存知かと思います。

1.圧縮方式

iTunesの音楽ライブラリで管理できるオーディオ・ファイルの形式はどのくらいあるでしょう。
音楽データの種類は圧縮方式(コーデック)の違いです。圧縮方式は「非可逆圧縮」「可逆圧縮」「非圧縮」と3種類あります。
圧縮されたファイルの大きさは非圧縮を基準に「非可逆圧縮」<「可逆圧縮」<「非圧縮」の順に大きくなっていきます。
音質はほぼファイルサイズに準じます。つまり「非可逆圧縮」<「可逆圧縮」=「非圧縮」となります。
音楽情報を付加するタグについても差が出ます。

種類 圧縮方式 サイズ 音質 情報タグ
MP3 非可逆圧縮
AAC 非可逆圧縮
ALAC
可逆圧縮 オリジナル
と同等
AIFF 非圧縮 オリジナル
WAV 非圧縮 オリジナル

※Apple Lossless Audio Codec
WAVとAIFFは共に非圧縮なのでデータの質としては同等です。
Windows用の非圧縮フォーマットがWAV形式でAppleの非圧縮フォーマットがAIFFとなります。

良い音質を求めようとするなら非圧縮が良いに決まっていますが、ハイレゾ・オーディオのコンテンツはCDの4倍〜8倍の大きさになってしまうので現実的には可逆圧縮方式を選択することを考えなければいけません。

2.ファイルフォーマット

様々な圧縮方式のデータをどのようなファイルフォーマットに収めるかというのをファイル拡張子で示すと次の様になります。

圧縮方式 拡張子
MP3 .mp3
AAC .m4a  .mp4  .aac
ALAC .m4a
WAVE .wav
AIFF .aiff  .aif

iTunesはOSX版・Windows版の両方があるので表のファイルフォーマットはiTunesの中で共通です。
非可逆圧縮については第三者団体によって定義されたファイルフォーマットなので各プラットフォーム共通の拡張子となりますが、非圧縮についてはWindowsは.wav、Appleについては.aiffが主流であるため最初から2種類のファイルフォーマットをサポートしています。
可逆圧縮についてはALACの .m4aのみiTunesでサポートされています。一般的な可逆圧縮フォーマットとしてオープンソースなものが存在します。
Flac_logo_vector
By Mike Wren [1] – File:FLAC_logo.png, vectorized by tetsuomight,

FLAC(Free Lossless Audio Codec)と呼ばれる可逆圧縮Codecです。(ちなみにALACも2011年にオープンソースとなっています)

掘り下げていくともっと多くのコーデックがあるのですが、ハイレゾ・オーディオに関係するPCM系の圧縮方式とファイルフォーマットは以上で十分だと思います。

3.サンプリング(標本化)と量子化

ハイレゾ・オーディオとは「サンプリング周波数、量子化ビット数の一方がCDスペック(48kHz 16bit)を超えていればハイレゾリューションオーディオとなります」(JEITAによる定義)
量子化ビット数を16bitから24bitに増やすということは、ダイナミックレンジの拡大(96dB -> 144dB)になるのでノイズレベルが下がる、あるいはデジタル化による離散ノイズが減ることは分かります。
サンプリング周波数を上げると周波数帯域が高域の方に伸びる形となり、20 – 20kHzだったものが20 – 40kHz、あるいは88kHzとなります。しかしその周波数帯域はそもそも人間の可聴域外なのです。
その辺の議論は定例会の講演の中でも話題にしようと思いますので今回は触れません(笑)。それでもハイレゾ・オーディオは流行っているんです。

ということで、一般的なPCMフォーマットのサンプリングレートと量子化ビット数を見ていきましょう。

種類 サンプリング
周波数
量子化
ビット数
備考
MP3 48kHz 16bit ハイレゾオーディオにはなりません。
AAC 96kHz 24bit ハイレゾでAACは使わないようです。
ALAC 1kHz〜384kHz 16・20・
24・32bit
ハイレゾ・オーディオデータになります。
FLAC 1Hz – 655,350Hz 4bit – 32bit ハイレゾ・オーディオデータになります。
AIFF 非圧縮なので、上限の規定値はないようです。実際に192kHz 24bitの楽曲もiTunesで再生できました。
WAV 非圧縮なので、上限の規定値はないようです。実際に192kHz 24bitの楽曲もiTunesで再生できました。但し4GBというファイルサイズの上限があります。

サンプリングレートについては、多くのDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)が192kHz24bitには対応しており、最新モデルのDACが384kHz32bitに対応しはじめている状況です。
ハイレゾ・オーディオ配信サイトでもまだ384kHzのコンテンツは少ないようです。

第一話のまとめ

ハイレゾ・オーディオではまず圧縮方式とファイルフォーマットを理解することがとても大切です。
iTunesでもハイレゾ・オーディオは楽しめますが、PCMのオーディオ配信フォーマットはWAVやFLACなどが中心であるため、変換する等の注意が必要です。
第二話では第一話でお話しなかったもうひとつのオーディオデータ・フォーマット「DSD」についてお話します。